*** 地より湧き出でる者達 ***

   皆さんは前回の話を覚えているだろうか。
   羽虫の群れが我が家を襲撃したと言う話だ。

   奴らは間違いなく蟻だった。
   結婚飛行中の羽蟻だった。

   しかしその数が異常だったのだ。
   通常、一つの巣からはあれほどの数の蟻が飛び立つだろうか。
   もちろん、複数の巣から飛び立ったものかもしれない。

   しかし、選りにも選って同じ日同じ時間帯というのが解せない。
   その上あの日は確か夕方頃まで弱い雨が降っていたはずだ。

   わざわざ雨が降った日に結婚飛行を行うものなのだろうか。
   疑問に思った私は、さっそく蟻の生態を調べ始めた。

   知っているようで知らないことが多いものだな。
   蟻はハチ目スズメバチ上科アリ科だそうだ。
   つまり蟻と蜂の違いはあまり無いということになる。
   言われてみれば形はほぼ同じだな。うん。

   と、興味深く蟻の生態について調べていたのだが、
   少なくともこの日本には奴らと思しき連中はいなかった。

   どういうことだろうか。
   環境の変化による異常事態だろうか・・・

   しかし私の興味は蟻全般へ向かい
   奴らの事は一旦忘れることになる。

   それから二日ほど経過したある日、丹楠典が
   たまたまテレビで見た情報をもたらした。
   何でも、どこぞの店内で昼のワイドショーを見たそうだ。
   そうして知った奴らの名前は・・・

    ―アルゼンチンアリ

   明らかに南米原産な名前ではないか。

   以下にWikipediaの冒頭部分を抜粋する。

   その性質から駆除や根絶が容易ではなく、果樹を食害し、
   人間を含む他生物の巣に侵入してきてその住人を襲い、
   そこから追い出し時には絶滅に追いやる、
   その結果間接的に生態系を破壊するなど、
   このうえもなく厄介なことで世界的に有名である。

   なんだこの明らかにヤバイ生物は!!

   極めて攻撃性が高い―他の蟻を根絶するらしい。
   天敵である鳥の巣にまで侵入する―雛を殺戮するらしい。
   多女王性である―なるほど!ていうかなんだそれは!。
   つまり、一度に大量の羽蟻が湧くというわけだ。

   奴らは人口建造物のちょっとした隙間にも
   巣を作り、地面の巣も浅く作るそうだ。

   乾季と雨季のあるアルゼンチンで、巣の水没による全滅を
   防ぐため、多くの女王蟻により頻繁に新しい巣を作る。

   その結果小規模の巣が大量に作られ、
   巨大なコロニーを形成する。

   そのうえ同種であれば巣が違っても仲間と認識するそうだ。
   そうしてどんどん侵略地域を広めていく。

   ただ、元々のアルゼンチンでは派閥争いが激しいらしく、
   異常な増殖は見られないというから興味深い。

   なお、外国へは輸出木材と共に広まったそうだ。
   日本では1993年に広島で最初の採集が行われたとある。

   まぁ、細かい情報はWikipediaでも見てくれ。
   色々と「コイツやべぇ」と思わせる記述がされている。
   特に以下の一文は強烈だ。

   根絶は容易ではなく、専門家ですら不可能としている。

   なお、秋以降我が家では見られなくなった。
   営巣されなかったことをほっとすると同時に、
   居心地の良い場所ではなかったのだなと思うと微妙な気分だ。

   なお、その後しばらくは雨の日のたびに
   コンビニのガラス窓などで見かけることになった。

   港の近い地域に居住している方はくれぐれも御注意を。

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